俺と宇宙戦艦ヤマトについて

先日、WOWOWの番組表を見ていたらキムタクヤマトが載っていたのを見て改めて表現しがたい感情の爆発が確認されたのですが、それが何故なのか?をじっくり考えてみました。そういやキムタクヤマトはいつ見たんだっけ?と過去ログを見てみたら去年の11月頃に見ていたようです。ほぼ一年近い年月を経てようやくじっくり考えれるようになるとは…。


多分長くなるので結論から先に。


「キムタクヤマトは、宇宙戦艦ヤマトを形成しているいくつかの重要な要素がなくなっているのでヤマトと認めたくない」


以下、具体的に「これがなきゃヤマトじゃないだろ」という点をずらりと並べます。
ネタバレになるので以下略。もう公開されてから何年も経つから見たい人は見てるでしょう、多分。


1.沖田艦長のキャラクターの改変


沖田艦長といえば宇宙戦艦ヤマトの初代艦長で…説明を書こうと思ったのですが尋常じゃない長さになったので割愛。知らない人はWikiでも見てください。


本編では「人類滅亡を企むガミラスにより汚染された地球を救うべく、病身の体を押して人類未踏の旅の指揮を執る」熱い男の沖田艦長なのですが、キムタクヤマトでは「放射能除去装置を取ってくるぜ!なんて夢物語で地球に残った人類を騙してヤマトで逃げた」ヘタレ爺になっております。


漫画でもアニメでもなんでもいいから一度見てもらえればすぐわかるのですが、宇宙戦艦ヤマトは主人公である古代進とかヒロインである森雪はメインストーリーにはあんまり関わりがなく、沖田艦長とか地球防衛軍の藤堂平九郎司令長官、ガミラスデスラー総統などのいわゆる「濃いオッサン」がメインストーリーを展開していきます。なので、沖田艦長のキャラクターを変えるとメインストーリーそのものが変わるわけです。


2.メインストーリーの改変


何故ヤマトはイスカンダルに旅立ったのか?何故デスラー率いるガミラスと戦わなければならないのか?ガミラス本星での戦いの後に「我々は、戦うべきではなかった!」と古代進が叫んだ理由とは。
前述の沖田艦長のキャラクターが変更された影響で、上に挙げたメインストーリーの重要ポイントが改変されたりズバッとカットされたりしています。


本編では「放射能除去装置を手に入れて人類滅亡を防ぐ為に十四万八千光年離れたイスカンダルへ旅立つ」のですが、キムタクヤマトでは「放射能ガミラスにやられた地球を見捨てて旅立ったが、放射能除去装置を取りに行くってのはスマン、ありゃ嘘だった」となってます。


デスラー率いるガミラスが地球に攻め込んできた理由は、本編もキムタクヤマトも「ガミラス本星が寿命なので移住先を探していた」と同じものなのですが、本編では作中で何度かガミラスの軍人と通信を交わすシーンがあり、そこでガミラスにも理由があって地球を手に入れようとしていることがわかる為、「理由はわかるが我々も生き延びるために戦わねばならぬ」と一定の理解を示していたのに対して、キムタクヤマトではその理由がわかるのがガミラス本星で大暴れしてる最中なのでこれっぽっちも理解しようとしません。というか状況的に無理です。説明してくれるのもガミラスの人じゃなくてアンチガミラスイスカンダル人だし。


そして、古代進ガミラス本星を壊滅させた後に争いの酷さ、悲しさを思い知って叫ぶシーンはキムタクヤマトでは丸ごとカットされてます。尤も、ガミラス本星のエネルギー炉に爆破装置を仕掛けて諸共に爆死した真田さんとか、お前はトランスフォーマーか!って言いたくなるような変形を見せて獅子奮迅の活躍の後無残に破壊されたアナライザーを見た直後に「戦うのは駄目だよね」って言うのはちょっと合わないよなぁとは思うのですが、地球に帰る航路の間に生き残ったクルーと話し合うなど他に入れられるシーンはあったので丸ごとカットの理由がわかりません。


3.宇宙戦艦ヤマトのバックボーンを理解していない


注意:私は右翼でも戦争賛美主義者でも大日本帝国海軍大好きっ子でもありません。また、戦争その他で被害にあった方々や亡くなられた方々を冒涜する意志は一切ありませんのでご了承願います。


宇宙戦艦ヤマトは、物語の元となった戦艦大和の最後の状況を再現し、史実では叶わなかった「絶望的状況からの大逆転」を成し遂げる話です。放射能を撒き散らす遊星爆弾で汚染された地球、圧倒的な戦力差で壊滅させられた宇宙防衛軍、太陽系から出たことすらない人類にとって遠すぎる十四万八千光年の旅路。そんな状況でも諦めず生き残る為の手段を探し、僅かな希望を現実のものにすべく命を懸ける。そして、戦った相手を理解して「愛し合うべきだった」と争う愚かさを反省する。


これらの背景があるからこそ、宇宙戦艦ヤマトは初めから終わりまで一本筋の通った物語として成り立つのです。



以上がキムタクヤマトはヤマトと認めたくない理由です。相当推敲したのですが何度か同じことを繰り返し書いてあるのはそれだけ重要だと思っているからです。


まとめてみたら思いの外スッキリまとまってイライラしなくなりましたよ!
ちなみに最後の敵に特攻して自爆するのは好きじゃありません。特攻自爆は劇場版ヤマトのお約束になっていますが、ヤマトの本来の役目を考えると生きて地球に帰ってこそ、いつかまた迫り来る脅威から地球を守るために存在するべき、と思うので、超巨大な敵を出して自爆で相打ちにする安易な結末は避けて欲しい…のですが、プロレス的なお約束として外せなくなってるのかもしれませんな。